私がずっと考えていた千銃士のラストはどう足掻いても誰も幸せにならないバッドエンドだった。
ゲームではみんな銃に戻ってしまったがその後もマスターの手元に残っていて、というラストだったが、私の思い描いていたラストはこれとはかけ離れたものだった。
ざっくり言うと、時代背景とか人間の心理とかそういうものが影響してマスターが不幸になるというもの。どう転んでも殺されるラスト。
例えば世界帝軍が勝利したら反逆罪で間違いなくマスターは貴銃士諸共殺される。
例えば戦いに勝利したとして、その場合世界帝に代わる新たな体制が作られる可能性が高い。戦いが終わったので勿論貴銃士達はもとの銃に戻っているだろうし、マスターも戦線を退いて穏やかな生活に戻るだろう。
だが人間という生き物は未知のものに対して恐怖する傾向がある。それが自分達を苦しめていたものとなれば尚更だ。
誰かが言うだろう「レジスタンスのマスターを殺せ」と。
マスターが世界帝のようにならないと誰が言い切れる。恐らく主張できるのはマスターを傍で見てきた恭遠くらいだろう。
そうなってしまったらマスターに味方はいない。助けてくれる貴銃士はもういないのだから。
「世界のために死んでくれ」
マスターは優しいからきっとそれを受け入れるだろう。恭遠が説得しても曲げることはないはずだ。
そしてマスターは公にされることなく秘密裏に処刑されるのだった……
と、私は考えた。綺麗事じゃ済まないだろうなと。だって武力で成した改革っていつもそうじゃないか。
公式は穏やかなラストで良かったと心底安心している。